AI画像生成は芸術か模倣か
AI画像生成と人間の共存
鹿児島玉龍高等学校 2年3組 下塩入奏・吉見凜香 2025年 1月20日
要旨
本研究は生成AIが人間の生活にどのような影響を与え、どう共存していくべきかを追求することを目的としている。教師48名、生徒34名を対象としたアンケート調査を実施し、現在のAI作品への評価のされ方を分析した。その結果、いい作品であれば、生成AIで作られたものでもいいのではないかという価値観が出てきている傾向が確認された。本研究は、生成AIが身近になってきた今、作品に対しての評価に影響を及ぼしているのではないかと考えた。
1.序論
私たちはSNSを日常的に利用しているが、近年はAIを使ったイラストやショート動画を目にする機会が急激に増えてきた。テキストを打ち込むだけで作品が完成する時代となり、誰でも簡単に“クリエイター”になれるようになった一方で、SNS上では「これAIでしょ?」と投稿者が疑われる場面も多く見られるようになっている。また、「AIの方が綺麗」「AI作品は人の作品の盗用だ」といった意見の対立があったり、作品そのものが誹謗中傷の対象になったりすることもある。では、AIによる作品と人の手による作品。人々はこの二つをどう捉えているのか。SNSが欠かせない今、TikTokやInstagramではAIが生み出したビジュアルが溢れている。だからこそ私たちは、生成AIとどう共存し、どう向き合うべきかを考える必要があると感じた。この疑問が、「AI画像生成は芸術か、模倣か?」というテーマに興味を持ったきっかけである。
2.研究方法
本研究では、玉龍高校の先生方48名、高校2年生34名を対象に「テレビやSNSで見る生成AI画像または作品についてどう思うか」 について。(問1)また、玉龍高校の先生方48名に「授業で生成AIを取り扱う際、気を付けていることはなにか」(問2)について選択式でアンケートを行った。
3.結果
図1
【問一の結果を示すグラフが入る】
図1のグラフは問1の結果を表している。
調査の結果、「AI作品と人の作品どちらとも魅力的だ」と感じる人が全体の5割近くを占めた。
図2
【問二の結果を示すグラフが入る】
図2のグラフは(問2)の結果を表している。
調査の結果、48名中47名の先生方が授業で生成AIを取り扱っていた。
また、「AIの情報がフェイクである可能性もあることを生徒に注意させる」や「生徒が生成AIを正しく理解・活用できるように指導する」といったこれから先、生徒が生成AIとうまく付き合っていけるような指導が多いことが分かった。
4.考察
アンケート結果から「AI画像生成についてどう思うか?」と言う質問に対して、「AI画像でも人の作品でも良い作品ならどちらでもいい。」と言う意見が主に多かった。私たちが立てた事前に立てた仮説では、「AIの作品がいい」と「人の作品がいい」のような、意見がはっきり二つに分かれるような結果を予想していたが、実際は「いい作品であればどちらでも良い。」と言うものだった。
このアンケート結果から、私たちは新たな問題を見出した。先ほど述べた「どちらでも良い」という「意識」について説明すると、アンケート結果で得られたこの「どちらでも良い」という意識は、ここで言う作品の制作過程や背景を意識せず完成した見た目のみで評価する姿勢を指す。このような評価が広がることで、人の創作に込められた努力や思考が見えにくくなってしまう可能性がある。
つまり、完成した作品の見た目だけを基準に「良いかどうか」を判断することで制作過程や思考の積み重ねが見えなくなってしまうということ。新たに見出した問題とは、「結果が良ければ、プロセス・過程は関係ない。」と言う価値観になりつつあることである。
これは教育現場の創作活動においても同じことが言えるのではないか。
例えば美術の授業において。
AIを使えば配色や構図が整った作品を短時間で制作することができるが、その場合なぜその色や構図が選ばれたのかを理解しないまま作品が完成してしまう可能性がある。
国語の授業において、生成AIを使えば読みやすく整った文章を書くことができる。しかし、自分の考えを整理し、言葉を選ぶ過程を省いてしまうと、表現力や思考力の向上においてはつながりにくい。
数学においても、計算を自動で行うツールを使えば正解を得ることはできるが、途中式や考え方を理解していなければ、応用問題に対応する力は身につかない。
5.結論
本研究では、生成AIが身近な存在となった現代において、AI作品と人間の作品がどのように受け止められているのかを明らかにすることを目的として調査を行った。その結果、多くの人がAI作品と人の作品の両方に魅力を感じており、作品の評価は制作手段よりも完成度や印象によって左右される傾向があることが分かった。
また、教師へのアンケート結果から、学校現場では生成AIの活用だけでなく、フェイク情報への注意や正しい使い方を指導することが重視されていることも明らかになった。これは、生成AIと共存していくためには、単に便利な道具として使うだけでなく、正しく理解し、判断する力が必要であることを示している。
今後、生成AIはさらに発展し、私たちの生活や表現の場に深く関わっていくと考えられる。生成AIを使うことで、効率的にデータを分析したり、生産性を大幅に向上させたりできる。その中で、人間にしかできない創造性とは何か、AIと人はどのような役割分担をしていくべきかを考え続けることが重要である。本研究が、生成AIと人間の共存の在り方を考える一つのきっかけになれば幸いである。
6参考文献
石川一郎『捨てられる教師 AIに駆逐される教師、生き残る教師』
SBクリエイティブ株式会社、2023 P36、P88、P100