学び×体験 クリキンディプロジェクト
クリキンディ・プロジェクト 活動報告レポート
鹿児島玉龍高等学校 Sea Flowers
1.はじめに
私たち鹿児島玉龍高校 Sea Flowers は、「環境問題を自分ごとにする」ことを目的に活動している団体である。本レポートでは、私たちが取り組んできた「クリキンディ・プロジェクト」の背景、活動内容、成果、課題、そして今後の展望について報告する。
2.プロジェクト名の由来
「クリキンディ・プロジェクト」という名称は、南米アンデス地方に伝わる物語に由来している。
森が燃える中、動物たちが逃げる一方で、クリキンディという小さなハチドリだけが、くちばしで水を一滴ずつ運び、火に落とし続けた。周囲に笑われても、クリキンディは「私は私にできることをしているだけ」と答えたという物語である。
環境問題は非常に大きく、個人の力では解決できないように思える。しかし、一人ひとりが「自分にできること」を行動に移せば、社会は確実に変わっていく。この考えに共感し、私たちは活動を「クリキンディ・プロジェクト」と名付けた。
3.昨年度の取り組みと課題
昨年度は、マイクロプラスチック問題をテーマに以下のような活動を行った。
• 海岸ごとのマイクロプラスチック比較調査
• 小学校での出前授業
• スポごみ甲子園のボランティア
• 映画上映会の実施
しかし活動を続ける中で、「このまま続けても、大きな問題解決につながっていないのではないか」という疑問が生まれた。特に、海岸の比較調査では、多くの時間と労力をかけたにもかかわらず、調査結果が具体的な解決策につながらないという結論に至り、大きな課題を感じた。
4.意識を変えたマイクロプラスチック採取体験
そのような中、私たち自身の意識を大きく変えたのが、マイクロプラスチック採取体験である。
砂を乾燥させ、ふるいにかけ、ルーペで観察しながらピンセットで一粒ずつ拾う作業は、非常に根気のいるものだった。拾っても拾っても終わらない体験を通して、「プラスチックがマイクロサイズになったら、もはや回収は不可能である」という事実を強く実感した。
この「実感」は、私たちの日常行動を変え、ゴミ拾いや分別への意識向上など、環境問題を初めて自分の生活と結びつけて考えるきっかけとなった。
5.「学び×体験」による新たな取り組み
私たちは、この意識変化を生んだ「体験」を仕組み化し、より多くの人に広げることを決意した。こうして誕生したのが、「学び×体験」で環境問題を自分ごと化するクリキンディ・プロジェクトである。
今年度はまず、種子島で以下の流れで実施した。
1. マイクロプラスチックに関する学習(パワーポイント)
2. マイクロプラスチック採取体験
3. 美浜海岸での清掃活動
高校生、大学生、地域住民など多くの方が参加し、「貝殻とプラスチックの区別がつかない」「海の生き物が間違えて食べてしまうと思う」といった声が上がり、体験が確かな気づきを生んでいることを実感した。
6.採取体験キットの開発
一方で、砂が乾いていない、道具が十分に揃っていないなど、実施環境に関する課題も明らかになった。そこで、どこでも同じ体験ができるよう「マイクロプラスチック採取体験キット」を制作した。
このキットを用いて、10月に開催された「甲突川クリーン作戦」に参加した。150名以上が参加するイベントで、85個のキットを準備し、説明ポスターを掲示しながら体験を実施した。
7.アンケート結果と改善
参加者からは「意識が変わった」という声が多く寄せられたが、QRコードのみのアンケート方式にしたため、回収数は23名分にとどまった。この反省を踏まえ、11月の大龍フェスタでは、QRコード・紙・シールの3方式を併用した。
その結果、体験者50名中43名分のアンケートを回収することができ、高い回収率を達成した。未就学児から70代まで幅広い年代が参加し、特に小学生は体験そのものを楽しみつつ、「これが本物の砂浜だったら拾えない」と問題の深刻さを理解していた。
8.成果と広がり
これまでに延べ200名以上がクリキンディ・プロジェクトを体験し、「体験前と体験後で意識が確実に変わる」ことを実感している。
また、海ポス甲子園に応募し認証プロジェクトに選出され、公式ブログ「明日の地図」では、認証プロジェクト内で閲覧数上位4位を独占する成果を上げた。
9.今後の展望
今後の目標は、クリキンディ・プロジェクトのパッケージ化である。
具体的には、
• 採取体験キット
• 解説動画
• 学校向け指導案
• 企業研修用プログラム
• 地域清掃イベント用セット
などを整備し、誰でも・どこでも実施できる仕組みを作ることである。
まずは小学生向け教材の開発に取り組み、昨年出前授業で関わった川上小学校で、2月に理科の授業として実施予定である。
10.おわりに
マイクロプラスチック採取体験は、人に必ず「気づき」を与える。その気づきは、日常の行動を変え、小さな一滴となって社会を動かしていく。
私たちはこれからも、クリキンディのように「自分にできることをする」仲間を増やし、環境問題改善への確かな一歩を広げていきたい。