2026年度 鹿児島市立鹿児島玉龍高等学校 3学年

介護職の待遇改善について

介護職の待遇についての探究

 

鹿児島玉龍高等学校 2年2組 岩戸優佳 2026年1月22

 

「介護職はやめておけ」で有名な介護職だが、社会において非常に重要な職業であるにも関わらず、待遇の悪さゆえに人手不足が大きな問題となっている。また、少子高齢化が進むことで、さらにこの課題が深刻になることが予測される。そこでこの探求活動では、現場環境の向上と、制度改善の2つの観点から介護職の待遇を改善する方法を探し、介護職の人手不足を解消することを目的とする。また、本探究活動においては、「待遇」を給与だけでなく勤務時間・福利厚生・労働環境など、企業が従業員に提供する労働環境全般を指すものとする。

仮説として、介護業界の待遇の現状は、制度によるものであると考える。

ネットの質問サイトで、介護職に勤めている方・勤めたことがある方を対象にアンケート調査を実施し、現場の課題や職員さんの意見から待遇改善の方法について考察した。

その結果、以下のことが分かった。

①介護職員の方は給料にあまり不満をもっておらず、むしろ人間関係のほうに現場環境の課題を感じている

②現在の介護職の給料では、人を業界に呼び込むのに足りない

以降、本探究では①を現場環境の改善、②を制度の改善の観点から調査・考察し、探求するものとする。

 まず、①についての探究活動の報告をする。

 昨年10月に、ネットの質問サイトで、介護業界で働いている方・働いていた方を対象にアンケートを実施した。内容は以下の通りである。

・なぜ介護職に就いたのか。

・現在、給料や勤務時間などの待遇についてどう感じているか。

・ほかの職種と比べて、不満や改善してほしい点はあるか。また、その詳細について。

・介護職の待遇を向上させるために、どのような取り組みが必要だと思うか

・今後も介護の仕事を続けたいと思うか

・若い世代に、介護職を勧めたいと思うか

以上のアンケートの結果、回答には前述した通り、『現在の給料に不満はないが、職場の人間関係には問題を感じる』といった内容の傾向があった。また、「他業界で就職できなかったから介護職に就いた。」「自分はまだ介護業界に勤める予定だが、若い世代には介護職は勧められない。」といった意見も多いように感じられた。

現場環境に直接関係のある『現在の給料に不満はないが、職場の人間関係には問題を感じる』という意見に着目すると、介護業界の現場環境を改善するには人間関係の問題を解決する必要があると分かる。さらにアンケートを追加し、人間関係の問題について詳細を伺ったところ、新人社員いびりや、夜勤後にいらいらして喧嘩、仕事への考え方の違いなど、実情はさまざまであったが介護業界における大きな問題であるようだ。

そこで、私は「心の健康づくり計画」の義務化を提案する。「心の健康づくり計画」とは、企業が従業員のメンタルヘルス不調を予防し、心身の健康を増進するために、厚生労働省の指針に基づき策定する中長期的かつ計画的な取り組み方針や内容を定めたものである。現在これは推奨されるだけに留まり、義務化はされていない。これの素晴らしいところは、ただのメンタルヘルスチェックとは異なり、企業が現場環境の問題点や従業員の不満を把握しやすい点にある。従業員のメンタルを整えるだけでなく、そもそもの現場環境を改善するのに大いに役立つはずだ。

次に、②についての探究活動の報告をする。

②「現在の介護職の給料では、人を業界に呼び込むのに足りない」という分析は、①とは別のアンケートの結果から出したものである。アンケートの内容は以下の通りである。

 ・現在の給料をどう思うか

 ・介護職の待遇についてどう思うか

 ・なぜ介護業界は人手不足であると思うか

 ・介護職は業務内容と給料が見合っているか

全体的に、「現在の給料に不満はないが、業務内容と見合っていないとは感じる。人手不足の原因もそれにあると思う。」といった意見が多いように感じた。

業務内容と給料が見合うようになれば人手不足の解消につながると考えられるが、

介護職は業務内容を簡単にすることが難しい。介護には「高度な感情・判断力が必要な労働である」という性質があるからだ。人の世話をする仕事であり、相手に寄り添う感情や、とっさの判断が必須となる。そのため、AIやロボットを利用して業務を簡単にすることができず、人が行うしかない。

これらのことから、業務内容を簡単にするのではなく、給料を上げることで人手不足を解消する必要があると考える。

しかし、介護報酬が公定価格であることや介護保険制度が低コスト維持を優先していることが介護職の給料増加を妨げている。つまり、社会の制度に問題があるということだ。よって『介護職を「準医療職・専門職」として再定義すること』を提案する。具体的には、

· 国家資格の専門性の強化

· 医療・福祉チームでの対等な位置づけ

· キャリア段階ごとの報酬差を明確にする   などである。

以上のことを実行することで、介護職が「経験を積めば確実に収入が上がる職業」になり、給料の増加と仕事の質の向上が同時に図れると考えられる。また、介護職が「準医療職・専門職」になれば、社会的地位の向上につながり人員の増加も見込めるだろう。

 

まとめとして、

①現場環境の改善には、「心の健康づくり計画」の義務化

②制度の改善には、『介護職を「準医療職・専門職」として再定義すること』

以上が、介護業界の待遇改善に有効だと考えられる。


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