2026年度 鹿児島市立鹿児島玉龍高等学校 3学年

若者と和服

 着物や浴衣は、本来、振袖のように人生の節目や特別な儀式のためだけに作られた衣服ではなく、かつては日常生活の中で広く着用されていたものである。しかし近年では、着物や浴衣は成人式や七五三、正月、祭りなどの特別な行事の際にのみ着用するものという印象が強くなっている。現代の街中で着物を着ている人を見かけることはあるものの、その多くは年配の女性であり、若者が和服を普段着として着用している姿はほとんど見られない。実際に私たち自身が着物を着て外出した際も、周囲に同様の服装をしている人はおらず、和服が日常生活から離れた存在になっていることを実感した。

 このような現状を踏まえ、本探究では「どのようにすれば若者に和服を普段着として受け入れてもらえるのか」という問いを立て、若者が和服に対して抱いている認識や課題を明らかにすることを目的とした。若者を対象に和服に対する意識調査を行い、その結果から得られた問題点を改善することができれば、和服を日常的に着たいと感じる人を増やすことにつながるのではないかと考えた。

 本探究では、まず同世代を対象に和服に対する認識を調査する第1回アンケートを実施した。その結果を分析し、若者が和服に対して抱いている課題や要望を整理した上で、それらを反映した新しい和服のデザイン案を作成した。次に、そのデザイン案について評価を行うため、第2回アンケートを実施し、和服を現代風にアレンジすることの有効性を検証した。

 第1回アンケートでは、若者における着物・浴衣の着用経験や、その現状に対する認識を把握することを目的として調査を行った。対象としたのは、本校の高校2年生の24名である。回答者の性別は、男性が50.0%、女性が45.8%、「回答しない」が4.2%であった。

 なお、本アンケートは複数選択式であるため、合計値は100%を超えている。

 「着物・浴衣を着たことがあるか」という質問に対しては、「ある」と回答した人が70.8%、「ない」と回答した人が29.2%であった。この結果から、和服を一度も着たことがない若者が一定数存在することが分かる。

 次に、着物・浴衣を着たことがある人に対して「いつ着たか」を尋ねたところ、「七五三」が最も多く76.5%を占め、次いで「お祭り」が52.9%、「六月灯」が41.2%であった。一方で、「学校の授業」「部活・習い事」「旅館」など、日常的な場面での着用はそれぞれ5.9%と少数にとどまった。この結果から、和服は現在でも主に行事や特別な機会に限定して着用されていることが明らかになった。

 また、「その時の着物・浴衣は誰のものか」という質問では、「自分で購入した、または買ってもらったもの」が52.9%と最も多く、「レンタルしたもの」が47.1%と続いた。「親族や友人から借りたもの」は少数であり、和服は購入またはレンタルによって入手される場合が多いことが分かる。

 さらに、着物・浴衣を着たことがない人に理由を尋ねたところ、「着る機会がない」「着付けが難しそう」「動きにくそう」といった回答が多く見られた。これらの結果から、和服が日常生活に取り入れにくい要因として、着用機会の少なさや着付けの難しさ、機能面への不安があることがうかがえる。

 「どうすれば着物を着やすくなるか」という自由記述では、「着物を着るイベントや機会を増やす」「お祭りなどで気軽にレンタルできる環境を整える」といった意見が多く寄せられた。また、「着付けの工程を簡略化する」「帯をつけるだけで着られる構造にする」「上下が分かれる形にする」など、着やすさを重視した意見も多かった。加えて、「素材を軽くする」「価格を下げる」「日常使いしやすいデザインにする」といった、機能性や経済面に関する要望も確認された。

 第2回アンケートでは、和服と洋服を折衷したデザイン案に対する評価を調査することを目的とし、本校の高校2年生の39名を対象に実施した。回答者の性別は、男性が46.2%、女性が51.3%、「回答しない」が2.6%であった。

 なお、本アンケートは複数選択式であるため、合計値は100%を超えている。

 提示した選択肢は、①道行風コート、②ヘチマ衿のコート、③羽織風ジャンパー、④袴ズボン、⑤どれも良いと思わない、の5つである。なお、アンケート作成者の手違いにより、同一の選択肢が2つ表示されていた。

 その結果、「羽織風ジャンパー」が最も多く、48.7%が選択した。次いで「ヘチマ衿のコート」が38.5%、「袴ズボン」が30.8%であった。一方で、「道行風コート」は20.5%と比較的少なく、「どれも良いと思わない」と回答した人は5.1%であった。

 自由記述では、「かわいい」「かっこいい」「デザインが好み」といった外見に関する意見が多く見られたほか、「普段着として着やすそう」「洋服と合わせやすい」といった日常的な着用を想定した意見も確認された。一方で、「昔の時代感が強い」「着慣れていないため恥ずかしい」「動きづらそう」「寒そう」といった、デザインの印象や機能性に関する指摘もあった。

 以上の結果から、和服を現代風にアレンジすることによって、若者が抱く心理的な抵抗感を軽減できる可能性が示された。しかし、見た目のデザイン性だけでなく、洋服との調和や動きやすさ、防寒・防暑といった機能性への配慮が重要であることも明らかになった。

 本研究を通して、若者に和服を普及させるためには、デザイン性と実用性の両立に加え、気軽に和服に触れられる機会を増やすことが重要であると考えられる。今後は、調査によって得られた課題を生かし、より多くの若者に受け入れられる和服の在り方を模索していくことが望まれる。また、今回の調査では回答者数が限られていたため、今後はより多くの対象者を集め、調査方法を工夫することも課題として挙げられる。


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