2026年度 鹿児島市立鹿児島玉龍高等学校 3学年

探究テーマ
薬の剤型について
①テーマ設定の背景
父と母が薬剤師をしている影響で小さい頃から薬に興味があり、今の私の将来の夢が薬剤師なのでテーマに薬を選んだ。以前風邪をひいたとき、錠剤を何種類か処方されたが、それぞれ形に差があることを不思議におもったことを思い出した。そこで父と母に聞いてみたところ、胃で溶ける薬と、腸で溶ける薬があることを知った。それの違いと、そのメリットについて興味を持ったのでこのテーマを設定した。
②仮説
胃で溶ける薬は、pHが低い環境でよく溶け、腸で溶ける薬は、pHが高い環境でよく溶けると思う。また、溶ける場所を制限する理由は、腸で溶ける薬は胃酸で分解されてしまう成分が含まれているのではないだろうか。
③調査方法
まず胃で溶ける薬と腸で溶ける薬をそれぞれ何種類か用意し、pHが低い酸性の液体(酢水)とpHが高いアルカリ性の液体(重曹)に用意した薬を溶かし、一時間後の溶け方の違いを調べる実験を行う。その結果をもとに、薬剤師に直接インタビューを行う。
④結果・分析
調査結果
人の胃液を模した40℃の酢水での結果。胃で溶ける薬は投入してから数分で表面がふやけてきて、15分後にほぼ崩壊し成分が溶けだした。一方腸で溶ける薬は一時間経っても全く見た目が変わらず、一日経ってもひびが入っただけだった。
人の腸液を模した40℃の重曹水での結果。胃で溶ける薬は20分後にひびが入り始め、一時間ほどでほぼ崩壊した。一方で腸で溶ける薬は15分ほどで外側のコーティングが剥がれ、一時間経った地点で急に崩れ溶けた。
考察との差
胃で溶ける薬は酢水でも重曹水でも溶けてしまった。
私の考察では胃で溶ける薬は酢水のみに溶け出すはずだったので、ここで新たな疑問が生まれた。そこで、どうしてなのかを薬剤師である両親にインタビューした。
インタビュー調査の結果①
私はこの調査で胃で溶ける薬と腸で溶ける薬と、分類してきた。しかしそれは間違いで、正しくは素早く溶ける薬と腸に行き着いてから溶ける薬と分類する。私が胃で溶ける薬と分類したものは腸用コーティングがされていない普通の錠剤であり、水などの液体にはなんでも溶ける。腸で溶ける薬に施された腸用コーティングがpHに選択性を持つ。
ここで私はなぜ腸で溶ける薬が必要なのかを追加でインタビューした。
インタビューの結果②
理由は三つある。一つ目は『胃で溶けてしまうと成分が分解されてしまう』こと。薬の成分が分解されることで上手く作用しない。二つ目は『胃を荒らす成分が含まれている』こと。胃で溶けてしまうと胃の表面に直接触れてしまうことでトラブルが起きてしまう。薬によっては胃の粘膜が出血することもあるそう。三つ目は『腸で吸収させたい』こと。小腸は表面積が大きく吸収効率が高いうえに、pHが安定しているという利点がある。
また、胃で溶ける薬は早く溶けて体に作用するため、鎮痛剤など素早く薬の効果を得たい場合に使われるそう。
⑤まとめ
今まで何も考えずに薬を服用していたが、すべての薬の形に意味があることを知り、さらに薬、薬剤師について興味持てた。仮設とは違う実験結果となったが、それをきっけかけに更なる知識を得ることができた。また、薬剤師であり目指す場所である両親から直接薬について指導してもらえる機会ができ、すごくよい経験になった。この実験で得られた知識と、新たな興味は今後夢を追いかける時の糧になると思う。
⑥残論点・今後の課題
今回は時間と設備の関係で湿布が人間にどのように作用しているのかを調べることができなかった。今後はずっと興味のある湿布などの皮膚から薬を吸収するタイプの薬について研究したい。