2026年度 鹿児島市立鹿児島玉龍高等学校 3学年

探究テーマ
色彩は高校生の集中力にどのような影響を与えるか
①テーマ設定の背景
青色が集中力を高めたり記憶力を高める効果があったりすると聞いたときに、学習するときの環境に色彩による効果を利用することで、より効果的な学習にできるのではないかと思ったから。
②仮説
青色や寒色系の色は、他の色よりも集中しやすいと感じる高校生が多いのではないか。また好きな色に「集中しやすいと感じる色」は影響されるのではないか。
③調査方法
色彩と集中力に関する文献と色彩が人の集中力に影響を与えるのかを明らかにすることを目的としたアンケートを通して、どのような色や色の系統が集中を高めやすいのか、あるいは気が散りやすいのかを調べ、日常生活や学習環境にどのように活かせるかを考察する。
④結果・分析
文献から得た情報としては、色彩は人間の注意や集中力に影響を与えるという研究がいくつかあった。たとえば、暖色と寒色では、寒色の方が注意力や記憶課題の成績を高める傾向が見られた研究。実験では参加者が仮想教室で課題を行った際、寒色の背景で注意力と記憶の成績が良く、心拍変動や脳の反応にも関連があった研究があった。また、別の研究では、赤は細部に注意を向けさせるのに有利で、逆に青は創造的な課題に適していると報告されていた。ただし色の効果は一貫しない面もあり、後続の研究やメタ分析では赤の効果が弱い・見られない場合もあると指摘されている。さらに色の「冷たさ・暖かさ」は集中力と視覚注意にも関係し、寒色は持続的な注意を促進するというデータもある。
高校二年生46名にアンケートを行った結果、色によって気分や集中力が変わると思う人が76.1%いたことから、多くの人が色は集中力に影響すると感じていることが分かった。

集中できる色としては、青色が47.8%と圧倒的で、系統としては寒色系が43.5%と最も多く、次いで無彩色が19.6%という結果になった。一方、気が散る色としては、赤が45.7%で系統としては蛍光色や原色が約8割を占める結果となった。
考察としては、寒色と無彩色がともに多く選ばれた理由として、両者に共通する「刺激の少なさ」が関係していると考えられる。寒色は落ち着いた印象を与え、気持ちを冷静に保ちやすい色である。また、無彩色は色味の主張が少ないという特徴がある。どちらも視覚的な情報量が少ないため、色に意識が向きにくく、勉強や作業に集中しやすい状態をつくりやすいのではないかと思う。
さらに、寒色や無彩色は、教室の壁や机、ノートなどの集中する場面で日常的に使われている色でもあるため、「集中する環境には、自然と寒色や無彩色があった」という経験が無意識のうちに積み重なり、集中できると感じる人が多くなった可能性も考えられる。
一方で、暖色系や彩度の高い色は目に入りやすく、気分を明るくしたり活発にしたりする効果がある。その反面、勉強中には注意がそれやすく、気が散ると感じる人が多かったのではないかと考えられる。
また、好きな色と集中できる色が一致しない回答が67.3%を占めたことから、色は好みだけでなく、使用する場面や目的に応じて選ぶことが大切であると感じた。
⑤まとめ
本探究を通して、色彩は集中力に影響を与える可能性が高いことが分かった。アンケート結果では、集中できる色として寒色系や無彩色が多く挙げられ、刺激の少ない色が集中しやすいと感じる人が多いことが明らかになった。一方で、暖色系や彩度の高い色は気が散りやすいと感じられる傾向が見られた。これらの結果から、色は気分や印象だけでなく、学習のしやすさにも関係していると考えられる。普段は何気なく選んでいる色でも、目的に合っていない場合、集中力を下げてしまう可能性があることに気づいた。
今回の探究結果を今後の生活に活かす方法として、勉強する際には、ノートや文房具、勉強机の周りの色を寒色系や無彩色にそろえることが考えられる。また、ポスターや資料を作成する際には、目立たせたい部分に彩度の高い色等を使い、集中して読んでもらいたい部分には寒色系や無彩色を使うなど、色の使い分けを意識していきたい。
この探究を通して、色彩には人の行動や集中力に影響を与える力があることを学んだ。今後も、色の効果を意識しながら、自分にとってより集中しやすい環境づくりを行っていきたい。
⑥残論点・今後の課題
今回の調査は、実際の集中力の変化を数値として測定したわけではなく、回答者の主観による結果である。今後は、同じ課題を異なる色の環境で行い、作業時間やミスの数などを比べることで、より客観的な検証ができると考える。また、好きな色と集中できる色も関係についての質問内容や調査方法をもう少し工夫したいと思った。