2026年度 鹿児島市立鹿児島玉龍高等学校 3学年

探究テーマ
スポーツ産業を通して考える観光客と住民の共存
①テーマ設定の背景
スポーツの開催地を観光地として振興していく場合、周辺住民と観光客相互の問題を取り除いて共生するには?
②仮説
スポーツ観光地における観光客と地域住民の対立は、観光客のマナー不足そのものよりも、事前のルール周知不足や地域住民への利益還元の不十分さによって生じている。
・観光客向けの行動ルールやマナーが多言語で明確に示されている地域ほど、住民の不満やトラブルは少ない。
・スポーツ観光による経済的利益を実感している地域住民ほど、観光客に対して肯定的な意識を持っている。
・観光客と地域住民の交流機会があるスポーツ観光地では、相互理解が進み、摩擦が起きにくい。
・行政・住民・スポーツ事業者が協力して運営している地域ほど、スポーツ観光は持続的に発展している。
③調査方法
① アンケート調査
対象
観光客
地域住民
観光事業者・スポーツ団体
内容
満足度(5段階評価)
困っている点(騒音・交通・マナーなど)
スポーツ観光への賛否
地域への経済的効果の実感
② インタビュー調査
対象
自治会長
商店主
イベント運営者
長年住んでいる住民
③ 現地観察調査
観察項目
混雑時間帯
観光客の行動(ごみ・交通・マナー)
住民との接触場面
④ 文献・統計調査
調べるもの
観光庁・自治体の統計
過去の成功・失敗事例
スポーツツーリズムの研究論文
④結果・分析
① 問題が起きる原因を先に潰す
典型的な問題
騒音・ごみ・交通渋滞
マナー違反(立入禁止区域、私有地侵入など)
観光客だけ得して、住民にメリットが見えない
対策
競技・イベントごとの行動ルールを明文化(多言語+ピクトグラム)
混雑時間帯を避ける時間帯予約制(例:サーフィン、スキー)
地域ごとの立入可・不可ゾーンを明確化
② 地域住民に“得がある”構造を作る
方法
地元住民を
・スポーツガイド
・審判補助
・イベント運営スタッフ
として雇用する
観光収益の一部を
・公共施設整備
・学校スポーツ支援
・地域清掃・環境保全
に見える形で還元
③ 観光客と住民を“分断しない”
住民参加型イベント
例:
地元チーム vs 観光客の交流試合
スポーツ×郷土料理体験
観光客向けに
「この地域ではこれを大切にしている」
を伝えるストーリー設計
④ 長期的に成功するスポーツ観光地の共通点
短期の集客より持続性重視
「スポーツ+文化+生活」の三位一体
行政・住民・事業者が同じテーブルに座っている
⑤まとめ
スポーツ観光地を持続的に振興するには、観光客の行動を適切に管理する制度設計、地域住民が利益を実感できる仕組みづくり、そして両者の相互理解を促す交流の場を整えることが不可欠である。
⑥残論点・今後の課題
①継続的なルール運用
ルールやマナーを整備しても、観光客の入れ替わりが激しいため、周知と遵守を継続的に行う仕組みづくりが課題
②地域住民の意見の反映
地域住民の意見が一部の代表者に偏りやすく、若者や観光業に直接関わらない住民の声を十分に反映できていない点
③経済効果の偏り
スポーツ観光による経済的利益が特定の事業者に集中し、地域全体に十分行き渡っていない点
④オーバーツーリズム
人気の高まりにより、観光客数が地域の受け入れ能力を超える可能性があり、環境や生活への影響を考慮した調整が必要
⑤効果測定
取り組みの成果をどの指標で評価するのかが明確でなく、満足度やトラブル件数などを用いた定期的な検証が課題