2025年度 長崎県立諫早高等学校 3学年

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探究テーマ

端材を用いたビジネスを行って、新たな経済的価値、社会的価値を生み出す方法。

テーマ設定の背景

父が勤める建設会社を訪れた際、多くの木材が無造作にコンテナに放り込まれているのを見た。それらは生産過程で出るごみ(端材)であり、コストや時間の都合から活用が難しいため産廃処理業者 に引き取ってもらっていると聞いた。資源エネルギー庁の調査によると、建設会社の端材は建築発生 木材に分類され、その 96%がバイオマス発電の燃料として利用されている。しかし、持続可能性を期待されているバイオマス発電も、燃料の不足や移動コスト、発電効率など様々な課題を抱えている。

そこで私は、端材の他の活用方法も模索する必要があると考えたのでこのテーマを設定した。また、2010 年から 2020 年の間に世界全体で年平均約 470 万 ha の森林が減少し(森林・林業分野の 国際的取り組み―林野庁)、国内でも林業後継者の不足、木材の国内自給率の低さ、森林の荒廃などの 問題に直面している。しかし、森林は土砂災害防止や生物多様性保全、二酸化炭素吸収による地球環境保全などの多面的機能を有する(森林の多面的機能-林野庁)。そのため、持続可能な社会を実現するためにはこれらの問題を解決し、森林を保全することが不可欠だ。

仮説

端材を利用した商品の販売、木工ワークショップを行うことで利益を上げ、木の価値を広めることが出来る

調査方法

(1)端材を用いた商品の製作

父が勤める会社から木の端材をもらい、本棚、椅子、収納箱を製作した。

(2)木工イベントの実施

12 月 7 日、長崎県立諫早高校で小学生を対象にした木工イベントを開催した。午前中は親子で本棚や椅子を製作する木工教室、午後からは学童クラブの小学生を対象にモザイクアート製作を実施した。そして参加者全員にアンケートを行った。

結果・分析

1)端材を用いた商品の製作

①結果

・製作にかかった時間の平均は一個当たり 4 時間であった。

→人件費 953 円(長崎県の最低賃金)×4 時間=3812 円

・インターネット上では、木工を生業としている人の手作りの商品は 10,000 円以上、素人の手作りのものは 2,000 円~5,000 円で取引されていた。

②考察

商品の製作・販売から利益を得るには、機械を導入して人件費を削減する、あるいは製造を業者へ委託し、商品の価値を高める必要がある。この他、工作キットへの加工も一つの手段である。

(2)木工イベントの実施

①結果

・参 加 者:家族 6 組(大人 8 人、子供 8 人)、学童(先生 3 人、子供 14 人)

・労働時間:準備 40 時間

イベント当日 6 時間(高校生 6 人、建設会社からのスタッフ 4 人)

・費 用:原価(保険料と絵具、ボンドなど):9,919 円

人件費 953 円×40 時間+953 円×6 時間×10 人=95,300 円

・売 上:参加費 100 円×16 人+2,000 円(学童)=3,600 円

・アンケート

平均すると、5 段階で 4.5 と高い満足度が得られた。また、大人全員が子供への社会課題教育にやや関心がある、とても関心があると答えた。さらに、このイベントで木が好きになった(30%)、木材・森林・環境に興味が湧いた(19%)という回答もあった。

「このイベントの参加費、いくらまでなら参加しますか」という質問では、~100 円/人が 22%、101~300 円/人が 11%、301~500 円/人が 45%、501~1,000 円/人が 22%であった。

②考察

端材を用いて環境教育をする木工イベントには大人からの需要がある。また、地域活性や顧客の環境意識の向上などの社会的価値を生み出せる可能性がある。スタッフの人数が余分であったこと、初めての開催であったことなどをふまえると、次回の費用は 50,000 円程度となると想定される。インターネットで調べると、対馬市で開催された木工体験では 4,000 円/個であった。サービスの対象を変えることや SDGs と関連付けることで、価格を引き上げることができると考えた。さらに一回当たりの客数を増やして利益を増やすことも必要だ。

まとめ

木工イベントのアンケート結果から、端材での木育には大きな社会的価値を生み出せる可能性があると考えた。

残論点・今後の課題

今後はこのビジネスの社会的価値を生かして、学校や幼稚園などに売り込むことで認知、利益を拡大したい。また、人件費の削減、マーケティングや SDGs と関連付けた宣伝によって価格の引き上げをするなど、工夫が必要である。さらに、社会的価値を示すことで多方面からの支援も見込める。全国展開するためにも工作キットの販売や端材の工作を SNS 上で評価しあうグランプリの開催などを考えている。

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