2026年度 広島文教大学附属高等学校 3学年

探究テーマ
トランスジェンダーとの共生に関する既存の解決策の分析と私の提案
①テーマ設定の背景
近年SNS上でトランスジェンダーに関する話題がひっきりなしに炎上しているため、どうしてこんなに批判されているのか、と関心を持ったのと、もともと心理学について興味があり、今回の探求のテーマとして社会問題について言及するとなったときに、一番身近でホットな話題がジェンダー(性同一性障害)に関する物だったため探求活動として設定した。
②仮説
今話題を呼んでいるのは主にジェンダーアイデンティティ理解増進法によって定められた所謂少数マイノリティ、トランスジェンダーに関する法律です。
ではなぜこの法律を中心に批判が集まっているのかというと、この法律の『国民の理解を増進する事で少数マイノリティの方の差別を無くす』という理念が拡大解釈され、「トランスジェンダーに指摘をしたら差別扱いされる、だから指摘できない、じゃあ心が女と語る男が女湯に入っていても指摘をしたら差別になるのだから理解増進に則って指摘しない」という過激な理論がSNS上で広まり、あたかも本当にそのような事が書いているという誤解が引き起こされているからです。そしてそれらが元となり、トランスジェンダー全体へのヘイトへと繋がっています。
このような事から私は、トランスジェンダー問題を引き起こしているのは誤った情報を流布したり誤解や偏見を助長させる見出し、記事であり、それらを解決しトランスジェンダーとの共存を少しでも良くするためには、私たちが正しい情報を認識する事だと考えています。
③調査方法
・内閣府のホームページから理解増進法の概要を調べる
・SNSで実例を集める。
・各政党のホームページからジェンダーに関する記述を収集
④結果・分析
前提として、問題の起点となっているジェンダーアイデンティティ理解増進法の概要を内閣府のホームページから引用してきました。

この情報を元にして、現行のジェンダーアイデンティティ理解増進法に関するものを調べるために自民党、参政党、共産党各党のホームページからジェンダーアイデンティティに関する理念をまとめた結果を下記のようにまとめました。
政権与党である自民党は
・性的指向や性自認の多様なあり方をお互いに受け止め合える社会を目指す。
・その理念を定めた上で、現行の法制度を尊重しつつ理解増進を目的とする諸施策を講ずることが必要である。
とされており、理解増進法そのままのような内容となっています。
対して参政党は
・急進的な施策は社会の分断や対立を深刻化させる。
・実際、アメリカではあるLGBT団体が受け取った公費の一部が政策に反対する過激な抗議活動に使用されたとして一部が暴徒化し法的問題に発展した。
と、実例を挙げて理解増進法の急速的な適応による影響にに懸念の意を示しています。事実、SNS上で対立を煽る発言が度々見かけられる事からもこの懸念点は杞憂では無いと言えると思います。
共産党の場合は
・マイノリティと言われる人たちが暮らしやすいほどその社会のすべての構成員にとっても暮らしやすい社会であると言える。
・社会的ルールにもなっていないことを強調し、恐怖心や偏見に基づく差別感情を煽るようなことはあってはならない
と発言しており、現状のトランスジェンダーに関するデマや偏見を強く忌避する意図が読み取れます。
各政党は確たる理念を持って国民にも、トランスジェンダーにも配慮した絶妙な塩梅の意見を述べています。しかしなぜ世間では「トランスジェンダーが体の性別と逆の公共施設に…」や「トランスジェンダーによる性加害が…」など法案に載っていないことについて話題となり、問題となっているのか気になりました。
そしてこの話題は私が仮説に設定した情報の誤解、煽動によりトランスジェンダー問題が助長されているのではないか、というものを立証するものであると考え、念入りに調べた結果。XなどのSNSではバーダー・マインホフ現象によって国民のトランスジェンダーへの認識に偏りがあるのではないか、と思いました。バーダー・マインホフ現象とはある特定の情報を知ると、その情報が頻繁に目に入るようになる現象であり、この現象は「確証バイアス」と呼ばれる、無意識に自分に都合がよい情報だけを取得する心理作用によって起こる現象です。
例に当てはめると、人は自分に関係のあるものばかり目に入るようにできています。過激な情報は多数の不安を煽ることに特化した内容なため自分もそうなるのでは無いか、という不安が広がり関連したものばかりが目につくようになります。その結果それが事実であるかのように誤認してしまい、当事者の意見はその過激な思想や意見に押し流されてしまいます。
また、このような現象の背景には一定の人間が「心が女だって言えば女子トイレに入れるってこと!?」と投稿し、その情報を刺激的な情報を拾いやすい10代20代が拡散し、あたかもその情報が正しいかのように認識してしまうという事例からも裏付けられています。
理解増進法はあくまで「理解増進」であって何の強制力もない法なのでそのようなことをしたら建造物侵入罪で逮捕されてしまうのですがそんな事実は広まらず、確証バイアスによって受け取る情報を選定してしまった脳は過激なものばかり拾い、誤認を広めていきます。
このようなことに対抗するために私はアイソレーション効果などを使い、正しい情報を広めていくことがこの問題を解決する足掛かりになるのではないかと考えました。現にアイソレーション効果はビジネス事務などで文書における物理的な効果としてよく用いられています。例としてドン・キホーテのポップアップが挙げられます、警戒色や拡大文字を使って人々の注意を惹き、そこから細かい情報へと視線を誘導する手法です。
⑤まとめ
今回の探求で私は心理学に関する研究をしてみたいと考えこの「ジェンダー問題」を課題として設定しました。
そして現在問題とされているトランスジェンダーとの共生について調べたところジェンダーアイデンティティ理解増進法が主な論点になりそうだと思い調べた結果、理解増進法や政党の方針に問題があるのではなく、ジェンダーマイノリティの方々への誤認や煽動する人たちによって問題が助長されているのではないかと仮説を立て、sns上での国民の反応を調べまとめました。
結果、この説は設定した課題に十分な影響を及ぼしていると考えられました。また、自民党などの政党それぞれのホームページからジェンダーアイデンティティに関するものをまとめた結果ジェンダーアイデンティティ理解増進法はあくまで理解増進を促すものであり強制力がないにも関わらずこのような誤った情報が広まり、挙句トランスジェンダーとの対立を深めるようなことがあるのか調べたら、その背景にはバーダー・マインホフ効果や確証バイアスが引き起こす脳の情報処理がよくない方向に働いているのが一因であるとわかりました。それに対抗するため私はアイソレーション効果などを使い正しい情報を脳に拾ってもらえるよう努めていきたいと考えています。
研究の概論としては以上ですが、まだ足りないところも多く反省も後悔もかなりある終わり方となってしまいました。
⑥残論点・今後の課題
研究課題に選んだテーマがかなり大きい物なので、実証実験を重ねる事が難しく、私の研究が本当に効果のある物なのか確かめる事ができなかったのは懸念点ではあります、今後このような研究をする機会があれば、アイソレーション効果を用いたポスター、ポップアップ、投稿などの作成とアンケートの実施といった成果確認とその反省をして改良を重ねていきたいと思いました。
ですが、限られた時間の中でここまで調べられたことは成果としてはまずまずだと自分で評価しています。