2026年度 広島文教大学附属高等学校 3学年

探究テーマ
日本の標識のわかりにくさ
①テーマ設定の背景
近年、日本を訪れる外国人観光客や在留外国人は増えていて、空港は日本の玄関口として大切な役割を持っている。空港は外国人が日本に来て最初に利用することが多いため、標識の分かりやすさはとても重要だと思う。しかし、日本の空港の標識には、日本人にとっては普通でも、外国人にとっては分かりにくい表現や表示方法があるのではないかと考えた。例えば、英語で書かれていても意味が伝わりにくかったり、日本独自のピクトグラムや略語が使われていたりすると、外国人が迷ったり不安を感じたりすることがあるかもしれない。特に空港は外国人が多く利用する場所なので、もっと分かりやすくする必要があると感じた。そこで、日本の空港標識が外国人にとってどのように見えているのかを調べ、分かりにくい原因を明らかにすることで、よりよい標識に改善するためにこのテーマを設定した。
②仮説
・英語表記が直訳的で、日本人には意味が伝わりにくい場合がある
・色、形の使い分けや意味が国・地域によって異なり、誤解が生じる可能性がある
・日本独自の略語は外国人に意味が伝わりにくい
・日本の空港では、標識に書かれている情報量が多い
・文字中心の案内になっている場所がある
・日本語に慣れていない外国人にとっては、短時間で必要な情報を見つけることが難しい可能性がある
③調査方法
・インターネットで調べる
・アンケートを行う
・実際の標識や案内を見る
④結果・分析

アンケートの結果(27人中)
(2)日本の標識がわかりにくいと感じたことがあるか
「ある」:10人(37%)
「ない」:17人(63%)
約4割の人が日本の標識をわかりにくいと感じた経験があることがわかった
(3)そう感じた理由
分かりにくいと感じた人
「イラストだけでは意味を予想できない」
「図がわかりにくいものがある」
分かりにくいと感じなかった人
「イラストがシンプル」
「色や形がはっきりしている」
(4)ピクトグラムの認知度
ピクトグラムという言葉を知っている:23人(85%)
ピクトグラムという言葉を知らない:4人(15%)
多くの人がピクトグラムという言葉を知っているということがわかった
⚪︎結果からの分析
アンケート結果から、日本の標識について「分かりにくい」と感じた人が約4割存在することが分かった。理由を見ると、イラストや図だけでは意味が伝わらない場合があることが、分かりにくさの原因になっていると考えられる。一方でピクトグラム自体の認知度は85%と非常に高くて多くの人にとって身近な存在であることが分かる。このことからピクトグラム自体が問題なのではなく、デザインや意味の伝わり方に課題があると考えられる。特に日本独自の表現や日本人には分かりやすいが外国人には伝わりにくいピクトグラムが使われている場合、外国人利用者にとっては理解が難しくなる可能性が高い。以上の結果から、日本の空港標識では、すでに知名度の高いピクトグラムを活用しつつ、国や文化が違っても直感的に理解できる「国際的に共通したピクトグラム」を採用することが重要であるということがわかった。また、アンケート結果からは、単に標識を増やすだけではなく、誰が見ても直感的に理解できるデザインにすることの重要性も読み取れる。特に空港では外国人利用者も多いため、文字に頼りすぎず、色や形、動作を組み合わせた視覚的に分かりやすいピクトグラムが求められる。
⑤まとめ
今回、①ローマ字だけでは意味が伝わりにくいこと、②日本独自の標識デザインが海外と異なり混乱を招くこと、③直訳された英語が不自然で分かりにくいことの三つの例をもとに、日本の標識がなぜ分かりにくいと感じられるのかを調査した。例えば、地名などがローマ字表記のみの場合、外国人には意味が伝わりにくく、内容を正しく理解できないことがある。また、日本独自の標識デザインは日本人には見慣れていても、海外の標識に慣れた外国人にとっては違いが大きく、混乱の原因になると考えられる。
さらに、日本語をそのまま英語に直訳した不自然な表現も、正しく意味が伝わりにくい理由の一つである。加えて、アンケート調査では27人中10人、約37%が日本の標識を分かりにくいと感じたことがあり、その理由として「イラストだけでは意味を予想できない」「図が分かりにくいものがある」といった意見が挙がった。この結果から、外国人だけでなく日本人でも標識を分かりにくいと感じる場合があることが分かる。また、調査を通して日本の空港ではピクトグラムの使用が十分ではないことも分かった。空港は外国人訪れる頻度が多い場所であるため、より分かりやすい案内が求められる。ピクトグラムの認知度は85%と高いため、国際的に理解されやすいピクトグラムを空港の標識に積極的に取り入れることで、外国人にも日本人にも伝わりやすい環境へ改善できると考えられる。今後は、空港を中心に誰でも直感的に理解しやすい標識づくりを進めることが重要である。
⑥残論点・今後の課題
残論点
・日本の空港でピクトグラムの使用が少ない理由は何か
・外国人が「日本の標識は分かりにくい」と感じる具体的な場面や標識の種類
・国や地域によって、分かりやすいと感じる標識に違いがあるのか
・日本語表記・英語表記・ピクトグラムのうち、どれが最も理解しやすいのか
・空港職員側は現在の標識をどのように評価しているのか
・色覚多様性に配慮した配色になっているのか
・初めて日本を訪れる外国人と、リピーターの外国人では感じ方に差があるのか
・空港ごとに標識デザインや案内方法に違いがあるのか
・文字数や情報量が多すぎることで、理解しにくくなっていないか
今後の課題
・空港内の標識に国際的に通用するピクトグラムを増やす日本語だけでなく、多言語表記をさらに充実させる外国人利用者へのアンケートやインタビューを行い、改善点を詳しく調べる。
・実際に標識を改善した場合、理解度が向上するか検証する。
・海外の空港の標識デザインを調査し、日本の空港へ活用できる点を比較・分析する。
・子どもや高齢者にも分かりやすいユニバーサルデザインを取り入れる。
・スマートフォンの翻訳アプリと連携しやすい標識づくりを行う。
・非常時や災害時でも直感的に理解できる案内表示を整備する。