2026年度 広島文教大学附属高等学校 3学年

探究テーマ
野生生物と共生社会へ
①テーマ設定の背景
近年、テレビやインターネットではクマなどの野生生物による被害が増加されている。私たちの生活と野生生物が深く結びついていることを知り、私たちの地域広島ではクマを例に共生していくにあたって、私達が出来ることは、何があるのだろうか探究しようと思いました。
②仮説
大元は人間の植林伐採などの人為的な事が深く関わっているのではないだろうか?
③調査方法
広島県のクマを例にインターネットで近年の広島県のクマの出没の増減について調べる。
インターネットを通じて広島県の対策、全国での対策、他国の対策,を調べる。
④結果・分析
広島公式サイト:広島市では、直近5年間でクマの目撃・通報件数が増加傾向、
例 2021年度〜2025年度は年間100〜200件
よって、広島市は出没状況を分析し、情報の収集・共有を進めている
例 クマの目撃情報は農林課等の指定窓口で受け付けており、情報提供が強化
市内の散策コース・公園などでクマの出没があった場所は通行規制や注意喚起の掲示を行うケース
住民が出来ることの対策
食べ物の匂いを出さない工夫鈴やラジオを使って音を出す(山歩きなど)1人で山へ入らない、出没情報をチェッククマを見かけたら自治体へ通報地域で情報共有・防災メール等に登録する➡︎これらは、「共存」を目指しつつ、自分や地域の安全を守るための基本的な行動
環境省の調査:全国でクマの目撃・人身被害が増加、死亡事故が複数発生。個体数増加や分布域の拡大、餌不足による人里への接近が要因森林伐採(開発)
テレ朝ニュース:森林開発・伐採によってクマの生息空間が縮小・断片化し、出没が増える可能性
東京大学ブログ:単一種の人工林では自然林と異なる生態的影響が出る場合がある。
日本自然協会:森の食料不足や里山荒廃もクマの行動変化と関連
対策分野 | 事例 |
|---|---|
管理制度 | 指定管理鳥獣として制度 |
法制度 | 鳥獣保護管理法の改正で現場対応の柔軟性を向上 |
自治体支援 | 予算拡充、人材確保、フェンス等防護策支援 |
関係省庁連携 | 教育・警察などと連携した総合対策 |
マニュアル | 出没対応や被害予防の実践的 |

海外事例
アブルッツォ地方(イタリア・Pettorano sul Gizio)
2015年に「ベア・スマート」コミュニティー
地域ぐるみでクマとの共生策電気柵、耐クマごみ箱、観光地、住民教育により農作物被害・人身事故ほぼゼロ
住民参加+インフラ整備+教育の三位一体で共存社会を実現。
中国チベット高原
IoTセンサー+画像認識システムでクマの接近をリアルタイム検知、参考Areivサイト➡︎AI・センサー技術は、遠隔地・夜間の監視に強み。
アメリカ、Bear Smart(ベア・スマート)(*日本もやっている)プログラム
全国的に展開されている対策モデル
生ゴミ・果樹・BBQなど「クマを引き寄せる要因」を徹底管理
クマ耐性ゴミ箱の導入住民への教育(クマスプレーの使い方、遭遇時の行動)
クマの出没情報をリアルタイム共有 人身事故・問題個体の殺処分数が大幅に減少。
カナダ
ブリティッシュコロンビア州・ウィスラー観光地とクマの共存に成功
観光客向けにも厳格なゴミ管理、
ルール違反には罰金:クマにGPS首輪を装着し行動を把握「餌付けゼロ」を徹底。
クマの市街地定着を防ぎ、観光と安全を両立。
分析:広島市では既に、住民とクマ双方の安全を守る取り組みが進められています。基本行動も推奨されています。
しかし、クマとの共生社会を実現するためには、これら個人レベルの対応だけでなく、行政・地域・技術を組み合わせた包括的な対策が必要です。海外の先進事例を見ると、イタリア・アブルッツォ地方のPettorano sul Gizioでは、地域全体でクマとの共生策を導入し、電気柵や耐クマ仕様のごみ箱、住民教育の三位一体で農作物被害や人身事故をほぼゼロに抑えることに成功しています。カナダ・ブリティッシュコロンビア州ウィスラーでは、GPS首輪やリアルタイム出没情報の活用、厳格なゴミ管理により、観光地とクマの共存を両立させています。さらに、中国チベット高原ではIoTセンサーと画像認識技術を使ったクマ侵入検知が研究されており、先端技術による予防も現実味を帯びています。広島においてもクマとの共生社会を実現し、人間と野生動物双方が安全・安心に暮らせる環境を整えていくことが、地域の持続可能性と防災力向上につながると考えます。
⑤まとめ
本探究では、
「クマの出没増加は、人間による森林伐採や里山管理の変化など、人為的な影響が大きく関わっているのではないか」
という仮説を立てました。
ニュースや報道ではクマの被害が目立つが、単なる野生動物の問題ではなく、人間の生活や環境の変化が背景にある可能性があると考えました。
調査結果から、クマの出没増加は単に個体数が増えたことだけでなく、人間の活動による生息地の変化や餌不足が大きく影響していることが分かります。
仮説どおり、人為的な要因が深く関わっており、人間の生活のあり方を見直す必要があります。
さらに、海外事例を見ると、被害が少ない地域は「住民参加」「インフラ整備」「教育・情報共有」を組み合わせた総合的な取り組みをしており、クマを排除するのではなく「共生の仕組み」を地域全体で作っていることが特徴です。
広島市でも、情報共有や注意喚起は進んでいますが、地域全体での共生プログラムやインフラ整備、教育面では今後さらに強化できる余地があります。
クマの出没増加は、人間の生活や森林利用のあり方と深く関係しており、人為的な影響が大きいという結論に達しました。
そのため、共生社会を実現するには以下の取り組みが必要です。
地域・住民参加型の共生プログラム
電気柵、耐クマ仕様ごみ箱、住民教育・マニュアル整備
情報共有と監視体制の強化
出没情報のリアルタイム共有、防災メール、AI・センサー技術の活用検討
行政・教育・関係機関の連携
鳥獣保護管理法に基づく柔軟な現場対応、予算・人材確保、総合的なマニュアル整備
自然環境の保全と回復
森林や里山の適切な管理でクマの生息環境を確保、餌場の安定
広島においてもクマとの共生社会を実現し、人間と野生動物双方が安全・安心に暮らせる環境を整えていくことが、地域の持続可能性と防災力向上につながると考えます
私は、クマの出没問題は「野生動物の脅威」ではなく、人間の生活や環境との関わり方の問題だと考えました。
仮説どおり、人為的な影響が背景にあり、クマをただ排除するのではなく、クマが自然の中で生きながら、人間も安全に暮らせる環境を作ることが大切だと感じました。
海外事例のように、住民参加と教育、インフラ整備を組み合わせれば、被害を減らしつつ共生できる可能性は十分あります。
広島でも、情報共有や注意喚起に加え、耐クマごみ箱の導入や学校教育、地域活動を進めることで、クマと人間が安全・安心に暮らせる共生社会を作ることができると考えます。
この探究を通して、私はクマ問題を単なる「危険生物の問題」と捉えず、人間の生活と自然のつながりを見直すきっかけにすることが重要だと学びました。
⑥残論点・今後の課題
十分に明らかにできていない課題
①森林伐採や人工林化、里山荒廃が、クマの餌不足や行動範囲にどの程度影響しているのかについて、具体的なデータを用いた検証が必要である。
②海外の成功事例を広島の地形や人口、予算規模にどのように適応させるかも今後の課題である。
③住民への注意喚起や教育が、実際に被害軽減につながっているのかについても調査が不足している。
安全確保のための捕獲と、クマの命を守る共生の考え方をどのように両立させるかも重要な論点である。
今後は、広島県内の事例調査や専門家・住民への聞き取りを行い、より現実的で持続可能なクマとの共生策を探究していきたい。